採用情報

PROJECT STORY

01

IoT Solution

ITサービスのグローバル企業が考える
IoT事業の将来と実現に必要な人材とは

世界有数の企業集団であるタタ・グループを母体に半世紀前に誕生したTCSは、ITサービスの先駆者として世界中で事業を展開してきた。製造から物流、小売、金融、通信、サービスなど多様な顧客のニーズに応えてきた実績を活かし、IoTの分野でも先進的な取り組みを行っている。日本TCSのIoT事業の推進メンバーに今後の展望と、グローバル企業だからこその魅力について聞いてみた。

PROJECT MEMBER

Kazuya Fujinaga

IoT推進室 室長

Joel Thompson

IoT推進室
ソリューション・リーダー

PROJECT STORY

01

IoT Solution

グローバルに活躍する
ITサービスの巨大企業

最初に、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)の概要を教えてください。

藤永1968年に設立されたITサービス、コンサルティング、ビジネスソリューションのグローバル企業で、現在、46カ国で事業を展開しています。全世界を合わせた従業員数は約42万人で、国籍は147カ国に及んでいるほどです。

母体となるタタ・グループは、もともとインドを発祥の地とする企業集団ですよね。

藤永ムンバイで事業を始めたのが日本の明治維新と同じ1868年のことで、製鉄会社や自動車メーカー、電力会社などを次々と興し、インドの近代化を担ってきました。そして創業100年目のこの年に、次なる事業の柱として、今で言うIT化を積極的に進めるため、TCSを立ち上げたのです。

まだ、コンピュータがほとんど普及していない時代ですよね。

藤永工場の自動化といった産業向けのコンピュータの導入は、日本はもちろん欧米の先進的な企業でもやっていませんでした。しかし、タタ・グループは「必要なものは自分たちでつくる」といった精神があり、電力事業を始めたのも自分たちの工場で必要なエネルギーを確保するためだったのです。したがって、この時代にコンピュータの可能性を強く感じたのは必然でした。

以降、多くの産業分野で実績を積んでいくのですね。

藤永早くに取り組んだことで技術力やノウハウを蓄積することができ、グループ内の生産性向上だけでなく、外部に向けたITサービスも拡大させていったことにより、米国からのビジネス受託拡大をベースにグローバル企業に成長しました。今ではタタ・グループの中核をなす企業になっています。

日本も重要拠点のひとつなのですね。

藤永もちろんです。1987年にインドのITサービス企業として初めて日本に進出してから多くの実績を積み、事業を拡大してきました。そして2014年、三菱商事のIT関連企業であるアイ・ティ・フロンティアと経営統合し、日印の両方のルーツを持つハイブリッド企業となったのです。

火力発電所の効率を大幅に向上させた
TCSのAI技術

日本TCSにおけるIoT推進室のミッションについて教えていただけますか。

藤永コンピュータだけでなくさまざまな物をインターネットに接続することで事業やサービスの最適化を図ろうという試みは10年ほど前から盛んになってきました。私たちもその重要性は早くに認識していたので、IoT推進室という専門のチームをつくり、日本TCSにとって強みのある分野を探っていくことにしたのです。

たとえば、どんな分野が考えられますか。

藤永すでに成功させたプロジェクトとして、火力発電所の効率化プロジェクトがあります。電力事業を幅広く手掛けてきた実績があり、そのノウハウを生かすことでIoTの先進事例とすることができました。

それはどこで行われたのですか?

藤永日本国内のある 発電所で行いました。大規模な火力発電プラントの運転開始にあたり、AIによる最適化を図りました。この結果、発電効率が向上し、運用コストや排気物質の大幅な削減が実現されました。世界で最も効率がよいと評価されている日本の最新式発電所において、更なる高効率化がAIの導入により達成できたことは、世界的にも注目を集めました。

IoTの導入事例としては、新たに取り付けたセンサーによって得られた多様なデータを活用するケースが多いですが、発電所の場合はどういう方法が可能なのでしょうか。

藤永私たちが活用している技術(デジタルツイン※)では、新たにセンサーを増やす必要がありません。詳しくは言えませんが、既存のセンサーから得たデータを解析することで他にもバーチャルなセンサーがあるようなシミュレーションができ、AIがより正確な判断をする助けになります。

AIの技術が強みのひとつなのですね。

藤永TCSはResearch & Innovationを促進する研究所をグループの各拠点にもち、 なかでもソフトウェアの研究センターとして世界的にも有名なタタ研究開発デザインセンター(TRDDC)では最先端の取り組みを続けています。特に強調したいのは、研究開発だけでなくデザインという名称が付いている点ですね。ここには、単なるR&Dに終わるだけでなく、その成果をもとにお客様の課題解決につながる技術開発やサービスを展開し、世の中に役立てていきたいという意思が明確に表れています。したがって、AIに関しても実用性を重んじた研究開発を進めてきましたし、これからもその方針は変わりません。

一方で大学など他の研究機関との関係も深いですね。

藤永インド全土にあるインド工科大学(IITs)とは古くから強い繋がりがありますし、さらにその上位校である国立のインド理科大学院(IISc)はタタ・グループの創始者であるジャムシェトジー・タタが中心になって1909年に設立されました。その後、事業のグローバル化に伴い、今では世界中の主要大学と共同研究や情報共有などで協力関係にあります。

※デジタルツイン
現実世界で起きている事象をあたかも「双子(Twin)」のようにデジタル環境で忠実・精緻に再現し、従来培ってきたものづくりや、社会インフラなどの知見を最大限に活用し、高度なシミュレーションを行うことで、過去の事象の再現や将来予測に活用する技術。

限界費用ゼロ社会の
実現を目指して

IoT事業の将来性についてどう考えていますか。

藤永IoTに関しては、「機械に取り付けたセンサーからのデータをコンピュータに集めて最適化する」といった部分的な取り組みにばかり注目が集まっているような気がしますが、私はもっと広い視野で捉えていくべきだし、そうすることで新たなサービスが提案できると思っています。

具体的にはどんな効果が期待できるのでしょうか?

藤永製造業を対象にした取り組みでは、工場だけに目を向けるのではなく、調達から生産、在庫管理、販売、配送に至るすべての工程をサプライチェーンとして管理し、最適化を図るべきだと考えます。もちろん、開発や設計といった作業もそこに含まれますし、たとえば機械メーカーであれば、原料の最上流である鉄鉱石の採掘といったところまでチェーンに加えることで、より大きな成果が得られるはずです。

IoTだからそれができるということですか?

藤永要するに物をひとつのネットワークに繋ぐだけのことですからね、あとはそこにどんな発想を加えるかで結果は変わってきます。もちろん、実現するためには技術も必要になり、TCSでは火力発電所のプロジェクトでも力を発揮したデジタルツインなどの強みが活かせるでしょう。

そのようななかで、これから特に力を入れていきたい分野はありますか?

藤永個人的に強く興味をもっているのはロジスティックスの分野ですね。IoTが目指す理想のひとつに限界費用ゼロ社会があります。未来学者のジェレミー・リフキン氏が提唱したもので、IoTにより効率性や生産性を極限まで高めた結果、商品やサービスを生み出すコストが限りなくゼロに近づくという意味です。ところが、情報の流通はほとんどゼロコストでできるようなったのに、物流のコストはなかなか下がらない。そこを解決できれば、産業だけではなく社会に革命が起きると思っています。

そんなことが可能なのでしょうか。

藤永不可能ではありません。実際に「物」を移動させれば大きなコストが掛かりますが、データだけを伝送して3Dプリンターで同じものをつくれば、物流コストも限界まで下げられます。

ハイブリッド企業における
ダイバーシティ環境

最後に日本TCSの職場環境についてお聞きしたいのですが。

藤永経営はインドと日本のハイブリッドですが、社内にはさまざまな国籍や文化をもった従業員がいるので、非常にダイバーシティな職場です。特に私のいるIoT推進室は多様で、約50人のメンバーの出身地はインド、ベトナム、モンゴル、ネパール、中国、ベネズエラ、インドネシア、イランなど9カ国以上に及びます。日本人は半分に過ぎません。

藤永グローバルな事業に携わるうえで英語は必要ですから、入社後に実践的な研修を受けてもらいます。ただ、日常的に交わされているのは日本語と英語両方ですね。というのも、私たちの主要なお客様は日本企業ですから、外国人スタッフを含めて日本語に堪能な人は少なくありません。

そんな多様なメンバーが一緒に働くことによるメリットは?

藤永その点については、IoT推進室の重要なメンバーのひとりであるインド人のジョエル・トンプソンを呼んできてあるので、彼に説明してもらいましょう。

ジョエルよろしくお願いします。

最初に、少しだけプロフィールを教えてもらえますか。

ジョエル私はインドの大学で機械工学、大学院でコンピュータ工学を学び、2002年にTCSに入社しました。理由は様々なグローバル企業と協働できる環境で働きたかったからで、希望通り、入社後は世界最大手の重工メーカーでCADによるガスタービンとスチームタービンの設計に取り組んだ後、航空機システムメーカーで燃料システムの設計の仕事をしました。アメリカやイタリアなどの、お客様とも仕事をすることができ、満足しています。

今の仕事に繋がる成果があげられたのですか。

ジョエル航空機の仕事では、複雑な燃料システムの動きをコンピュータ上でシミュレートできるようにし、それまでは実機によるテストで1年間かかっていたアメリカ連邦航空局(FAA)の承認を、3カ月で取得できるようになりました。これもデジタルツインに近いものです。

日本で働き始めたのはいつからですか?

ジョエル国内大手重工メーカーのスチームタービン事業の設計プロセスを自動化するシステムの開発に携わるため2012年に来日し、以来藤永さんと共に働いています。

藤永インド人は真面目な人が多いのですが、彼は特にそうで、技術者としてはこれだけ実績があるのに、現在も、日本の大学院にも通い、博士号取得を目指しています。

ジョエルだから、それまでは日本を離れません(笑)。

本題に戻りますが、さまざまなバックグラウンドをもつ人が一緒に働くことで違いは感じますか?

ジョエルそうですね。たとえば、ゴールがここにあるとき、日本人はまっすぐに到達するために計画をたて、その計画通りに実行しようとしますが、インド人は試行錯誤を重ねながらジグザグに近づいていく傾向にありますね。発想のしかたが違います。

藤永日本人は過程を気にするので、シーケンシャルに考え、最適化しようとしていきます。一方、インド人などは、どんな道筋であれ、最後はゴールに到達できればいいと考える。一見、日本人のほうが合理的に思えますが、一概にどっちがいいとは言えないもので、特に日本人の場合は「最終的にゴールには届かなかったが途中はがんばった!」と過程だけを評価することがありますが、このやり方は国際的には通用しません。

ジョエルもちろん、インド人や日本人同様、他の国の人もそれぞれやり方や考え方の違いがあると思います。だからこそ、いろいろなタイプの人が集まり、一緒に仕事をするからこそ多様な発想が活かせるのです。未解決の課題に対してイノベーティブなソリューションを創っていくには、この多様な視点が重要です。

藤永TCSの最大の強みは、この多様性かもしれません。時には大激論などもしながら違った個性がぶつかり、そしてひとつのゴールを目指していくことで多彩な過程を経験し、人間的にも成長していける。だから、うちのメンバーは世界中どこに行っても活躍できることを保証しますね。

※各社員の所属部署や掲載内容は取材当時のものです。