採用情報

PROJECT STORY

03

Agile Development

国境を越えた地球規模の
『分散アジャイル開発』を推進

- 「日・英・印」が連携した”One TCS”体制で、自動車販売の構造的改革を実現 -

ジャガー・ランドローバー・リミティッド(JLR)は、その名が示す通り、英国を代表する二つのブランドからなる自動車メーカーだ。同社は、WEBと代理店の販売支援システムを結合し、スムーズな商談実現を図るシステムをワールドワイドで構築し、活用してきた。今回、同社は、日本市場に向けた同システムの開発パートナーに日本TCSを指名。日本・インド・英国を繋ぐアジャイル開発体制で、大きな顧客満足と販売効率アップを実現した。

PROJECT MEMBER

Kazuyoshi Mashimo

エンタープライスアプリケーションサービス統括本部 統括本部長

Sfurti Pandey

エンタープライスアプリケーションサービス統括本部
Salesforceソリューション本部

PROJECT STORY

03

Agile Development

開発場所に依存しない
国際的分散アジャイル開発
を推進

今回JLRの世界戦略に呼応して、日本市場向けに開発が進められた「オンライン・セールス・アドバイザー(OSA)」は、顧客がショールームに足を運ぶ前に、Web上で希望の車種を比較・検討。そのまま見積りや下取り、ローン計算までをシミュレーションすることができるシステムだ。顧客が選択した車種や装備、ボディーカラー、見積金額、支払いプランなどのデータを、そのままクラウド上の顧客管理システムに集約。顧客がショールームを訪問した際には、そのデータを基にスムーズに商談ができる、というものである。

今回、この機能を実現するためにSalesforceの「Community Cloud」が採用された。Salesforceとは、新規顧客開拓からスムーズな商談成約、既存客のフォローやマーケティングに至るまで、顧客との良好な関係を構築し営業力強化を進めるためのセールスフォース・ドットコム社製CRMソリューションだ。そもそもJLRのグローバルなSalesforce活用環境整備は、TCSが担ってきた。日本TCSエンタープライズアプリケーションサービス統括本部長真下 和孝は以下のように語る。

「今回の案件は、これまでJLRのSalesforceをベースとしたCRM戦略支援を進めてきたインドの開発部隊との連携が不可欠でした。さらに、変化著しい市場環境に対応しながら、タイムリーなシステム構築を図る必要もあったのです」

そこで、あらかじめ定義した開発手順を、順番に追いかけていく従来手法(ウォーターフォール)ではなく、小規模なプロトタイプを迅速に提示しながら、対話の中でシステムを磨き上げていくアジャイル開発が求められた。さらにJLRからは、「ブランドイメージの統一性を尊重して、UIデザインは、JLRのウェブサイトを手掛けてきた英国の会社を使いたい」という要望もあった。

こうして2016年末、日・印・英の連携プロジェクトチームが形成されたのである。

地理や時間的隔たり
言語や文化の壁を越えた協力体勢を構築

エリアを越えたグローバルなアジャイル開発は、それぞれ得意分野をもった人材を世界的視野でアサインしたり、エリアごとに負荷分散を図ったりすることができる。また、時差を越え、24時間体制で開発を継続することができるので、開発の迅速性がさらに加速されるなどのメリットがある。

一方、距離はもちろん文化的にも隔たりのあるプロジェクトチームの緊密なコミュニケーション形成や、それに基づく意思の統一、モチベーションの維持など、克服すべき課題も少なくなかった。真下統括本部長はこう続ける。

「距離や時差、言語や文化的背景の違いを超えて、地球規模に広がるチーム同士が協調してアジャイル開発を進める体制は、私たちTCSだからこそ実現できたのだ、と自負しています」

開発から運用に至る全フェーズで、プロジェクトチームはもちろん、JLRの英国本社ともメールや電話会議で、連日緊密なコミュニケーションが図られた。

「東京ーロンドン間の時差は9時間なので、こちらの夕方5時があちらの朝8時。またムンバイは、午後1時30分になります。リアルタイムな電話会議は、お客様であるJLR英国本社側のタイムゾーンに合わせる必要がありました」

また本プロジェクトは、当然英語によるやりとりが基本となる。エリアを越えたエンジニア同士の交流によって、相互にインスパイアされることも多く、日常的な交流の下で日本側スタッフの英語力も飛躍的に向上していった。

日本側のリードで
国際間理解を促す努力を追求

とはいえ、国境を越えたチーム間で全く温度差がなかったわけではない。今回、日本側のプロジェクトチームを率いて、プロジェクト・マネージャーを務めたSalesforceソリューション本部イスフルティ・パンデイはこう回想する。

「私たちは、プロトタイプの提示・評価・更改に至るアジャイルのワンサイクルを、1週間レベルで想定していました。ところが、インドのプロジェクトチームはもう少し緩やかに捉えており、さらに英国のWEBデザイン会社は『2週間くらいでも良いのではないか…』と考えていたのです。そこで、日本市場の厳しさやそこにおけるビジネステンポの速さ、さらにお客様であるJLRのビジネス戦略を考慮したスケジュールを提示して、文字通り『アジャイル(Agile:迅速な)』姿勢の必要性を訴えました。最終的に、私たちの意図を理解してもらうことができ、『みんなで頑張ろう』という気運が生まれました」

「ひとつのチームとしての連帯意識を高めるためには、ネットや電話会議上のつながりに加えて、リアルなface-to-faceの交流も必要だ」と真下は力説する。

「実は、システム構築はヒューマンな側面も大きく、最終的には『あの人のために一肌脱いでやろう』というマインドが大切です。不思議なもので、実際に顔と顔を見合わせることで、人種や民族を越えた仲間として、そんな気持ちが芽生えてくるものなのです」

プロジェクト・チームは、そのためにリアルな対面の機会を尊重。JLR英国本社の人たちや各国プロジェクトチームスタッフも、何回か来日して一緒に食事をしたり、ビリヤードやダーツの腕を競い合ったりする時間を共有した。

「プロジェクトは、必ず何度か苦しい局面に直面します。そんな時、困っている相手の顔が浮かぶか否か、が大きなポイントなんです」(真下)

「お互いが同志的な気持ちでつながり、良い意味でライバルとして競い合うマインドが、TCSの魅力だと思います。それが結果として、お客様満足の源泉にもなっているのではないでしょうか」(パンデイ)

日本市場に配慮したカスタマイズを進め
さらにアジア太平洋地域への水平展開を

一方、UIは、ブランドCI(Corporate Identity)に則したデザインテンプレート上に築かれていった。しかし、欧州と日本の顧客では色遣いなどに対する好みも、微妙に異なってくる。さらに、日本の市場や顧客特性を熟知したJLRジャパンのマーケティング部隊の尽力もあり、日本語表現に関しても、細かな言い回しに至るまで綿密な吟味が重ねられた。

「JLR英国本社も、そんな市場ドリブンなローカライズの意義を尊重してくれたおかげで、日本のお客様のハートに響くサイトを築くことができました」(真下)

さまざまな苦労を重ねながら、2016年末にスタートしたプロジェクトは約1年で新車販売のシステムをカットオーバー。続く半年後には中古車販売システムも順調に稼働した。

JLRは、日本での成功をスプリングボードとして、今後アジア・パシフィック地域にもOSAの水平展開を推進していく。ここでも各国市場を意識したローカライズが必要となるが、すでにシンガポールでもプロジェクトが進行しており、今回のプロジェクトを成功に導いた日本スタッフが現地に出向いて采配を振るっている。

「社内では日本語でコミュニケーションすることも多く、言葉の問題で苦労もありましたが、『さまざまなDNAをもった人たちの総力でプロジェクトを成功させた』という達成感があり、とても楽しい経験ができました」(パンディ)

確かに、仕事には相応の苦労がつきまとう。しかし難易度が高ければ、それだけ得るものも大きいはずだ。「後輩や部下として、そんなプレッシャーを楽しめる若い人材を歓迎したい」二人は口を揃えてそう語る。

※各社員の所属部署や掲載内容は取材当時のものです。